旅館&カフェ
城崎にある旧消防署のリノベーションとして、旅館、カフェとアートギャラリーの複合施設がオープン。47年間街を守り続けた消防署の記憶を残すことと、城崎周辺の円山川の川霧をイメージするのにBタイプ金網の装飾が採用されました。
この建物「UTSUROI TSUCHIYA ANNEX」はアートギャラリーカフェで正面にBタイプの金網が装飾で使われています。 金網の張力を利用して美しい平面を出しています。また金網は透けるので、旧消防署建物の形そのままに表現しています。
建物センターには旧消防署のマークがそのまま残され、金網越しに見ることができます。新しいものが生まれても記憶がそのまま残り城崎の街に溶け込んでいくようです。
カフェ内部からは、城崎の街並みが見渡せます。窓の上部に少し金網がかかっているのですが、全く気にならなく広い空間をそのままに使えます。
宿泊施設の内部の壁面には、竹田城の絵が描かれています。雲海に浮かぶ天空の城として有名で、この城崎の朝の川霧りとイメージと重なります。 外の金網から漏れるやさしい光がこの霞に包まれるイメージを表現しています。また透過光が多く建物内部はとても明るくなっています。
客室の庭のハンギングエッグチェアに座ると建物正面のメッシュの隙間から街の風景が見れるようになっており、霧の中に浮遊するような体験を旅行者してもらうというコンセプトになっています。 また金網は光の関係から、暗い側に立つと、明るい側は見えやすくなります。逆に明るい側から暗い側は見えないので、昼間は外から部屋内部が見えにくくなり、プライバシーも守ることができます。
建物内部の休憩スペースにも金網が採用されています。空間を遮るのですが、閉塞感がなくスッキリとしています。
日が傾くと建物の表情も刻刻と変化します。金網が霞のように薄いベールを被せているようです。
日が暮れると、建物内部の光が金網に反射し美しく浮かび上がります。古い記憶と新しい風を吹き込む素晴らしい建物が城崎に誕生しました。